今日は資材手配の仕事とは何かを紹介します。
今回紹介するのは、部品・材料の”手配”についての内容です。
会社によっては仕入先選定や価格交渉を含めたカネを軸にした業務を行う部門を「資材」「部材購入」「調達」と言ったりもしますが、今後このページで出てくる「資材手配」は生産管理における“必要な材料を仕入れる業務”が中心になる業務内容です。
Contents
資材手配って何すること?
資材手配とは、生産に必要な部品や材料を手配し、問題なく生産計画通りに生産ができる体制を構築することです。
生産計画を立案したのちに、滞りなく生産ができるような資材手配計画を立てるのです。
生産計画から、いつ・何の部材が・どれだけ必要なのかを計算する必要があります。
その際の手法やシステムのことを”MRP(Material Requirement Planning):「資材所要量計画」と言います。今では”ERP(Enterprise Resource Planning)”が主流になっていますが、このあたりの話はまた別の機会に紹介します。
ジャスト・イン・タイム(JIT)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
生産管理および自動車業界では幅広く認知されている言葉です。
これは、必要な部材を必要な時に必要な分だけ供給するというトヨタ自動車発祥の考え方です。
後工程(得意先)に対し、一切のムダ(在庫)を省いた供給体制であるため、資材手配において、ジャストインタイムは限りなく理想に近い状態なのです。
製品であっても部材であっても、在庫というのは過剰になっているとキャッシュフローを悪化させ、管理コストを上昇させ、経営へ悪影響を及ぼします。
そのため、いかにして、余計な在庫を持たずして部材を手配・管理するかが非常に大切です。
しかし、後で詳しく紹介しますが、ジャストインタイムはそう簡単に実現できる体制ではなく、ほとんどの製造業では在庫を抱えています。
在庫の最小化・適正化は永遠の課題であり、生産管理が得意先と現場(工場)と仕入先の状況を十分に考慮しながら、自社に合った手配方法を検討していくことが資材手配における最大使命となります。
資材手配のやりがい・面白さは?
資材手配の仕事は、
というミッションへの挑戦です。
部品や材料を手配する際には、仕入先の生産能力や納入の流れ、自工場の生産状況といった多くの情報を頭に入れて行う必要があります。
自工場の生産を止めないようにすべく、時には自ら走り回って部材を調達し、生産ラインへ届けることもあります。
部材がどのように手配されているのか、どこから納入されているのか、工場の生産ラインの方々はそんなことを知りません。懸命にモノづくりをしています。
その陰では、発注依頼や納期交渉を含めて仕入先とコミュニケーションをとりながら部材を供給すべく、奔走している資材手配マンがいるのです。
生産管理における資材管理は工場を回すためには重要なポジションを担っていることは間違いありません。日の目を浴びることは少ないかもしれませんが、自分が生産を支えているんだ!と実感できる仕事です。
資材手配するときの難しさは?
「毎日同じようなものを同じぐらい手配しておけば良いんでしょ、難しくなさそう。」
と思いませんか? 私もこの仕事をする前はそう考えていました。
それ大間違いです。
確かに、生産する製品(商品)が毎日それほど変わらない業界や会社もあるとは思います。
しかし、多くの工場は目まぐるしく生産する製品を切り替えます。
売れるモノを売れるときにどんどん造って売りたいからです。受注が変わり、生産計画がころころ変動するのです。
そうなるともう資材手配は大変です。
せっかく立てた資材手配計画を変更し、仕入先へ無理をお願いして部材を納入してもらいます。
中には海外から輸入している部材もあったりすると、調達L/T※が船で3カ月かかるモノを飛行機で2週間で入れてもらうようなことも多々あります。※L/T:リードタイム=必要な期間
日々変わりゆく状況で、素早く判断し、必要な分だけ手配をする難しさがあります。
さらに難しいのは、このような状況の中で、適正な在庫水準を維持しなければならないことです。
在庫が不足するのはもってのほかですが、必要な部材点数が多いほど在庫が増えるときもあっという間です。
そのため、資材手配をする際は常に在庫に気を配る必要があるのです。
目先のことだけでなく、先を見通して発注をし、発注方法は定量発注なのか定期発注なのか、発注ロット※をどう設定するのか、仕入先からの納入回数をどうするのか、様々な要素を仕入先とともに検討しながら管理していきます。※ロット=同じ製品を扱う際の最小単位
以上のように、資材手配の仕事は先を見通してスケジューリングをすると同時に、素早い判断力と交渉力を必要とします。さらには、在庫状況を把握できる視野の広さや瞬時に動けるフットワークも必要となり、簡単そうに見えて実は非常に難しい仕事です。
生産を円滑に行い、工場を安定的に回すためには資材手配の力が不可欠と言えます。
資材手配に向いている人は?
資材手配の仕事に向いているのは情報収集力と交渉力がある人です。
部品や材料を手配するときに必要なものは、確かな情報です。
いち早く生産計画の変動を察知し、必要に応じて手配スケジュールを変更する力が必要です。
もたもたしていると手配が間に合いません。
広くアンテナを立て、注意力をもって仕事に臨める人は行動が素早いです。
そして、多少無理を言ってでも手配しなければならない状況は数多くあります。
そのときに、仕入先と交渉して手配をお願いする力も必要です
交渉や折衝を当たり前のように行える人は資材手配の仕事をする上で、強力な武器になります。
情報収集力と交渉力に自信のある方はぜひ挑戦してみてもよいかもしれません。
さいごに
いかがだったでしょうか。
部品や材料を手配して円滑な生産体制を構築するのが資材手配です。
生産管理の中でも生産管理らしく、スピーディーでやりがいのある仕事の一つです。
少しでも理解が深まったようであれば幸いです。
それでは今回はこの辺で…..。
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