今日は生産管理における最重要ともいえる考え方について紹介します。
それが“QCD”です。
多くの生産管理マンにとっては当たり前のように使われる言葉ですが、最近は多くの仕事でも使われるようになった印象があります。
生産管理のみならず、あらゆる仕事をする上でも非常に重要な考え方・キーワードになりますので、ぜひとも抑えていってください。
また、「なんとなく聞いたことあるけどよく分からない方も、理解を深めることで良い仕事につながりますので、ぜひ最後まで読んでいってください。
Contents
QCDとは
まず、QCDとは…
Quality | : 品質 |
Cost | : コスト |
Delivery | : 納期 |
と、重要項目の頭文字をとったものです。
特に製造業では非常に重要な考え方で、この3つなくしては良いビジネスができないことはもちろん、会社経営が成り立たないと考えられています。
どんな仕事をやる場合にも、QCDをベースに考えていきますので、会社や仕事を評価する「ものさし」になります。
QCDのすべてを満たす必要がありますが、これらをすべて高いレベルで満たすことは非常に難しく、「これで完璧」と言える状態はほとんどありません。
なぜなら、このQCDの3つは独立したものではなく、お互いに複雑に影響し合うというところです。
この辺りは後ほど詳しく説明していきます。
繰り返しにはなりますが、QCDとは仕事をする上で最重要項目であり、考え方のベースとなるものです。
どんな仕事をする場合にもこれの状態を意識して取り組み、問題がある場合には改善をしていくことが大切です。
生産管理における”Quality(品質)”
まず、製造業では特に、「品質第一」という考え方があります。
これはモノを造って顧客へ届けたとき、それが不良品であったり、求められているレベルに達していないモノであるとき、会社の信頼が著しく低下する可能性があるためです。
特に自動車業界などは人の命にも影響する事態にも発展しかねません。
そのため、品質を何よりも重要視すべきであるという大前提があります。
QCDの3項目すべて重要だと述べましたが、実はQ(品質)だけは優先度が高いのです。
Q→C→Dという並び順にもそういった意味があるのです。
では、生産管理におけるQ:品質とはどんなことがあるのでしょうか。
モノを造る製造部門やモノを最終チェックする検査部門にとっての品質は、決められた図面通りのモノを規格通りに正確に製造することです。
生産管理における品質とは、その正確に製造されたモノを無事に次工程や顧客へ届けることがあげられます。
特に物流管理や出荷管理などの業務は品質に直結する仕事になります。
「なんだ、モノを移動させたり、出荷するだけか」と感じた方がいれば、それはまだまだ生産管理のことを理解していないと言えます。
工場にはいろいろな人が働いています。日本語や日本の当たり前文化が通用しない外国人もいるでしょう。日本人の中にも、同じ内容を伝えてもこちらの意図と全く違う理解をする人もいるでしょう。
生産管理の品質とは、“誰がやっても全く同じ作業をすることを保証する”と言い換えることができます。
例えば、部品を出し入れする場合にも、作業手順書などのマニュアルが必ずあります。
投入する順番や時間、場所を間違えた場合の影響を作業者一人一人に認識させます。
そして、誤って要求と異なる製品を得意先へ出荷することのないように何重ものチェックを行った上でモノを移動させ、出荷するのです。
その上で、万が一間違いがあった場合にもすぐに再確認ができるように履歴をすべて残しています。これをトレーサビリティ(追跡可能性)と言います。
さらには、作業者がケガをしては元も子もないですので、安全を確保することも品質のひとつです。
生産管理(物流管理)の仕事は、「モノを届けて当たり前」と思われがちですが、何度やっても、だれがやっても同じ品質レベルを維持することが求められているのです。
当然ですが、生産管理における品質は現場の仕事だけではありません。
間接管理部門としても品質は重要です。
生産計画を立案する場合に、いかに正確な計画を立てるか、ムラやムダの少ない計画プランが良い仕事につながりますし、製造部門や現場作業者も作業がしやすくなります。
社内外の人に対して、次の人が気持ちよく安心して仕事ができるように自分の責任を果たすことが会社全体の品質につながっていくものです。
モノを扱う人だけではなく、全ての人が品質第一の意識で仕事をすることが本当の意味での「品質第一」なのです。
生産管理における”Cost(コスト)”
ここまで品質の重要性を述べてきましたが、品質だけに注力していては、コストがかかりすぎてしまいます。
会社の経営を考える上では、品質を維持しながらコストを抑えることが大切です。
そもそも生産管理におけるコストとはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものは以下の通りです。
・作業者の人件費
・トラックや船等でモノを運ぶための輸送費
・在庫を管理するための保管費
これらはすべてコストになりますので、少なければ少ないほど良いとされます。
特に多くの会社で人件費が一番コストがかかっていますので、いかにムダのない作業手順を構築するか、システムで効率化・自動化できる仕事はないかを考えることが大事です。
さらに、輸送効率を高めたり、在庫の低減などによって、コストカットを図ります。
生産管理はモノを造ってカネを生み出す、という部門ではありませんので、可能な限りコストを最小化していくことが求められるのです。
1分1秒の短縮、1円10円の削減を繰り返しながら仕事を見直していきます。
生産管理における”Delivery(納期)”
3つ目の”D”はDelivery(納期)です。
品質やコストのことばかりに目を向けていて時間がかかりすぎていては本末転倒です。
生産管理は納期通りにモノを届けるという使命があります。
・モノを納期通りに供給する!
・抱えている仕事を納期通りに完結して次の人へボールを投げる!
当たり前のことかもしれませんが、生産管理にとっては生命線です。
そして、現場は納期に敏感に仕事をしていても、意外と間接部門の仕事は納期が曖昧なまま進むことがよくあります。
「納期のない仕事はない」ということを意識して仕事をしていくことが大切だと言えます。
生産管理における”QCD”の重要性
QCDについては理解が深まったと思います。
しかし、本当に難しいのはこれらを理解してからです。
なぜなら、
品質を高める → コストや納期が悪化
コストを抑える→ 品質や納期が悪化
納期を早める → 品質やコストが悪化
といった関係性があるためです。
これらをバランスよく高いレベルにしていくことが生産管理における本当の“QCD”なのです。
どのような手段が最も有効なのか、を考えるのが生産管理のミッションです。
また、状況によって求められるものが異なりますので、これが正解!という答えはありません。
そして、一度効果があったことであっても、状況が変わればまたすぐに対策が必要になります。
下手をするとイタチごっこのようなスパイラル状態になりかねません。
部分的に良くしようとするのではなく、全体を俯瞰的にとらえ、会社にとって最も効果的な業務方法・体制を整えていくことが生産管理マンとして重要な考え方です。
QCDに振り回されるのではなく、QCDをベースに最適解を見つけていきましょう。
さいごに
生産管理におけるQCDについて説明してきました。
仕事をしていると自分のやっていることの良し悪しが見えてこなくなるものです。
そういうときにQCDという基本概念に立ち返り、方向性や結果と向き合っていくことが大切です。
QCDの工場に終わりはありません。
どんどん良くしていきましょう!
それでは今回はこの辺で。
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